アルペンコースでの出会い・その2
ピョンチャンのアルペンコースでは、韓国以外から来たと思しきスタッフが非常に目立ちました。観察していると、彼らは英語でもドイツ語でもない言語を使い、母国語でコミュニケーションをとっている模様。いったい彼らはどこから来ているのか。その答えは、大会終盤の男子スラロームの日に明らかになりました。
撮影ポジションで待機していると、コース係の一人が英語で話しかけてきました。そこでわかったのですが、彼の住むところはモスクワ! そう、ピョンチャンのアルペンコースづくりを支えていたのは、ロシアからの皆さんだったのです。
その男性はアレクセイといい、とてもフレンドリーで、日本への思い入れを熱く語ってくれました。
「僕は、日本というのは別の星なんじゃないかと思っているんだ。電化製品、自動車、どれも本当にすばらしい。もう何台もトヨタに乗り続けているよ」
「日本海を見るのが、ずっと夢だったんだ。この前、ついにその夢がかなった。何時間も車を走らせてたどり着いたんだけど、もう日が落ちる時間で、わずか5分しか見ることができなかった。あとはもう真っ暗。でも、日本海の水に触れることができたから、夢はかなったよ」
アレクセイとはfacebookで友達になり、連絡先も渡しました。
「僕は音楽もやっているんだ。今度、僕の作った曲を送るよ」
そのうち、彼の曲が送られてくるかもしれません。なんだか楽しみです。
さて、彼との出会いから感じたのは、韓国のアウトソーシングの上手さです。おそらく日本の場合、オリンピックやパラリンピックではできる限り自国の人材でなんとかしようとするのではないでしょうか。一方、韓国はロシアからの助っ人をアルペン会場の主力に据え、そこに自国のスタッフを融合させることで、競技運営をスムーズに運ぶ方法を選びました。これは非常に合理的です。
またアイスホッケー会場では、ゲームの随所にエレクトーンの生演奏が流れましたが、その奏者はアメリカもしくはカナダから呼ばれたプロだったと思います。タイミングも選曲もドンピシャで、会場の雰囲気づくりにおおいに貢献していたのが印象的でした。そしてそのエレクトーンに絡むのが、おそらく地元韓国のDJで、この人も良かった。会場のみんなが知っている曲を巧みに織り込み、盛り上げていました。
2020年東京大会の運営がどうなるのか、まったくわかりませんが、適材適所で海外からの力を借りるのもよいのではないか。そう思わされたピョンチャンでの体験でした。