※ facebook投稿より転載
アルペンコースでの出会い・その1
忘れないうちに、ピョンチャンで印象に残った出来事を記しておきます。
男女GSの1本目、コース上部の撮影ポジションで競技開始を待っていると、すぐそばにコース係の韓国の若者たちがやってきました。ここが彼らのポジションでもあるようです。その中に、日本語を話せる青年が一人いて、私に話しかけてきました。独学で日本語を学んだそうで、沖縄に行ったことがあるとのこと。そして、こんなことも言いました。
「私たちはみんな桃佳のファンなんです」
昨年のプレ大会で村岡桃佳選手の滑りを見て、応援したくなったのだそうです。彼のジャケットの袖には、村岡選手のサインがありました。
やがて競技が始まり、お互いに仕事に集中したわけですが、女子1本目が終わると、彼が笑顔で声をかけてきました。
「桃佳が1番ですよ!」
本当にうれしそうな彼に、「応援ありがとう」と伝えて、私は移動しました。その後、村岡選手は2本目でさらにリードを広げ、今大会初の金メダルを獲得したことは、ニュースで報じられたとおりです。
正直なところ、韓国の人は日本人のことをあまり良く思っていないのではないか、という不安がありました。しかしピョンチャンでは、そんなふうに感じさせられるシーンは、ただの一度もありませんでした。それどころか、大会ボランティアのフレンドリーさ、レストランの方のやさしさ、そして観客の盛り上がりなど、随所にホスト国としての韓国のレベルの高さを見た思いがしています。
次は、2020年東京大会です。世界中から訪れる選手団やメディア関係者、そして観客の方たちを、私たちはピョンチャンの人たちのように温かく、そして自らも楽しみながら迎え入れることができるでしょうか。大会期間中の出来事を振り返ってみると、とても大きな宿題を隣国から持ち帰ってきた気持ちになります。